2013年6月23日、BABYMETALは両国国技館で開催された株式会社アミューズの株主総会後イベントに登場。
BABYMETALの所属事務所であるアミューズは芸能事務所としては珍しく株式を公開しておりそれも東証1部上場。
当然毎年株主総会を開催しており、株主総会後には株主に向けたライブイベントを催しています。
このライブイベントは出資者をもてなし楽しませるというだけでなく、現在どのようなアーティスト活動に力をいれているのかをも提示し、今後のアミューズの方向性をも示唆する重要なお披露目の場。
そのアクトにBABYMETALが選ばれました。
アミューズ株主総会イメージ(2007年)
出典:https://blogs.yahoo.co.jp/pinchan0323/49808072.html
株主総会後ライブイメージ(2010年)
出典:http://southernallstars.com/2010/06/post_58.html
当日は3組のアーティストが出演しBABYMETALは1番手として2曲披露
【セトリ】
1 ヘドバンギャー!!
2 イジメ、ダメ、ゼッタイ
出典:https://www.oricon.co.jp/news/2025919/
この日は神バンドが帯同。
たった2曲の披露にバンドとはさすが株主相手だけに本気度が違います。
これからベビメタちゃんサウンドチェック→リハーサル★(`∇´ゞ☆ #両国国技館
— 大村孝佳🚬🍺✋(΄⌒◞౪◟⌒`) (@TakayoshiOhmura) June 22, 2013
株主総会だけあって、この日の模様は時事通信等でも報道されました。
報道なので、ライブも音源をとくに編集せず流してくれており生の音が聞けます。当時のすぅちゃんはイジメをこんな風に歌ってたんだなあと感じられる非常に貴重な音源なのでぜひチェックしてみてください。
さて、このイベントは株主相手のものだけにBABYMETAL初見の株主さんの貴重な感想が聞けます。かなり面白いのでいくつか。
ほとんどの観客が座ったままで、今後業績に寄与しそうだろうか?(笑)とじっと見つめる中でのライブは大変でしょうね!
ライブというよりオーディションの様なものですね(笑)
BABYMETALは2曲でしたが、激しいヘビーメタル調なので、私も難聴になるんじゃないか?と心配になりました。近くの年配の方は耳を塞いでいましたが、そこまで無理して聞かなくてもいいのにね。数人熱狂的なファンが一緒に踊っていて、シュールな感じでした。
http://sokai.seesaa.net/article/367851301.html
最初にBABYMETAL
聞いた事なかったけどYoutubeで大人気とか音響半端じゃない!!
洋服が振動でゆれます
感動で寒イボ!!
大爆音とレーザー光線と光の演出感動しまくった!!
https://minkabu.jp/blog/show/531463
ボーカルのSU-METALが最年長の15歳、スクリームのYUIMETLが14歳、同MOAMETALが13歳。
恐ろしい時代がやってきた スクリームしたいのは俺だ
「爆音の悪魔を従えた天使達」鎖ながらお人形さんのようなエンジェル達
その爆音に周りの高齢の方は大丈夫かとご心配申し上げる次第(自分も充分高齢か )。
また、このエンジェル達は羽を羽ばたかせて動き回るし走り回る。
これは本当に、若しかしたら「世界征服」を果たすかも知れない・・・・・。
そう 「イジメ、ダメ、ゼッタイ」 これはハマる人はハマるだろうな~と素直に思う。
http://blog.livedoor.jp/misotai/archives/67900598.html
いやあ、おもしろいですねw
音がでかすぎて聞くに堪えないとして耳を押さえている株主さんがいる一方で、「なにが世界征服じゃ」と思っていた株主も「もしかして」と思わせるライブクオリティ。
株主に向けてのBABYMETALの説明は、アミューズの超公式見解ですから書き起こしてみます(下方画像参照)。
世界が注目、BABYMETAL!ド・キ・ド・キ☆モーニングMV再生回数1,000,000OVER!
圧倒的なライヴパフォーマンス! 「サマソニ」史上最年少&初出場ライブでロックファンを魅了!!2010年、BABYMETALは「アイドルとメタルの融合」をテーマにユニットを結成。キュートなヴィジュアル&ダンスとゴリゴリのメタルサウンドのギャップに衝撃を受けた感度の高いリスナーの口コミからジワジワと噂が広がり、YouTubeで公開された「ド・キ・ド・キ☆モーニング」ミュージックビデオをきっかけに海外からのアクセスが殺到。ライブではBABYMETALの激しいサウンドとパフォーマンスがフロアにモッシュを発生させるなど、アイドルの枠を超え、日本を越えて注目される存在に。
注目は株主への説明で「『アイドル』とメタルの融合」と説明している点でしょうか。その上で『アイドル』の枠を超えつつあると。
よくBABYMETALはアイドルなのかどうかは話題になりますが、アミューズ的にはやはりアイドル出身であると認識している点は抑えておいてもいいかなと。その上でアイドルを超越する存在への道のりを歩んでいるということでしょうか。
さて、この株主総会後のライブイベントのテーマが重要です。
BABYMETALとともにライブに登場したアーティストは誰なのか。
慢慢説(マンマンシュオー)
2012年にボーカルの利得彙(リーダーフェイ) とギターの沈志方(ジャック)によって結成された男女デュオで、2012年12月に契約したアミューズ台湾所属第1号アーティスト。
【来歴】2010年、ボーカルのリーダーフェイによる単独CD「花痴」をリリース。10月にはドリンクスタンド「橘子工坊」の広告キャラクターとして中国ツアーを行う。2011年は学園祭ライブを中心に活動し、2012年ギターのJackとユニット慢慢説を結成。同年2月にはインディーズシングル「等」を発売。
参照:
https://news.infoseek.co.jp/article/prtimes_000000097_000002883/
http://artist.amuse.co.jp/artist/murmur_show/
CROSS GENE(クロスジン)
中国、韓国、日本のメンバーで構成されるアジアグローバル・ユニット。2012年6月に韓国でデビュー。メンバーは、タクヤ、キャスパー、ヨンソク、サンミン、セヨン、シンの6名。日本人トップダンサーのケント・モリが手掛けた、アジア各国の武術を振付に採り入れたパフォーマンスが話題に。2013年3月、シングル「Shooting Star」で日本デビューを果たす。
引用:https://tower.jp/artist/2062807/CROSS-GENE
慢慢説は台湾出身のデュオでアミューズ台湾所属。
CROSS GENEは韓国人4名、日本人1名、中国人1名の多国籍ユニットですが、アミューズ韓国支社が手掛けるユニット。(ただし、活動の多くは日本)
アミューズは世界各国に支社をつくっていますが、それは日本のアーティストを売り出したり、外国のコンテンツを日本へ輸入するためだけでなく、現地でもタレントを抱えマネージメント活動をしているというのが面白い。
株主への説明でもこうあります。
アミューズは韓国、中国、台湾、香港、シンガポールの各国に拠点を広げ、多様化するアジアマーケットにてアーティスト事業を拡大化しております。
それぞれの国で生まれ、新しいステージにチャレンジする次世代のアーティストによるパフォーマンスを、是非ご覧ください!
アミューズはちょうどこの時期アジア各国に現地法人あるいは支店をオープンさせていっています。
2011年5月 台湾に雅慕斯娯樂股份有限公司を設立
2012年6月 シンガポール支店新設
2012年8月 香港にAmuse Hong Kong Limitedを設立
BABYMETALはアミューズのアジア戦略という文脈の中で株主総会後ライブに登場したのですね。アーティスト紹介欄に「日本を越えて注目される存在に」とあるように、単に期待の新鋭としてだけでなく、海外展開が可能なアーティストとしてBABYMETALが選ばれたことがわかります。
ということで、BABYMETALは2013年度、アミューズの戦略に沿ってアジア攻略に向けて動いていきます。
ちなみに、各国の拠点づくりに尽力したのは、台湾が市毛るみ子氏(現取締役専務執行役員)、シンガポールが相馬信之氏(現取締役専務執行役員)、香港が畠中達郎氏(現代表取締役社長執行役員)(アミューズ設立40周年企画内畠中社長インタビュー参照)。アミューズの生え抜きで取締役に就任しているのはこの3人だけなので、大里会長を除けばこの3人が事実上アミューズのトップ3。
市毛氏はアミューズの食育・農業プロジェクトの責任者であり(詳しくは340 アミューズ食育・農業プロジェクト参照)、キッズ事業の担当役員でもあるため、KOBAMETALやBABYMETALと縁の深い実力者。そこに若干後のりで絡んでくるのが相馬氏です。相馬氏はアイデアマンであるため、アミューズ内で芸能事務所らしからぬ新規事業を立ち上げています(例、A-Sketch(楽曲配信等)、希船工房(グッズ、アパレル事業)、新日本プロレスとの提携、感動オリーブオイル(オリーブオイルの輸入販売)、LINEチケット(新規開拓中))。BABYMETAL絡みで見てみるとBABYMETALアパレルなどは相馬氏系列の事業でしょう。そして畠中氏はアミューズUSA、アミューズEUROPEの社長も兼務しており、欧米は畠中社長の所管。BABYMETAL絡みでいうと、グラフィックノベルはアミューズUSAの事業。こういったあたりに着目してみるとBABYMETALは社内力学に沿った動きをしている側面もあるのではとも思わされます。
とりあえず2013年はアジア攻略ですが、どの国を攻めるのか。アミューズのアジア戦略と社内力学が絡んだ動きを見ていくのも面白いです。