広島のすぅちゃん

BABYMETAL中元すず香の軌跡をたどる

 

1050 中元すず香そのリーダー像に迫る

 

   2012年
今年も1年ありがとうございました
 みなさんにとって、2012年は
どんな年でしたか
 私は、引越しをして新しい環境の中で
新らたな出会いを経験しました
また、さくら学院の生徒会長として
人の上に立つ事によって、責任感やまわりの事
をしっかり見れるようになった事も
一つの成長です
ただ、沢山の人に迷惑や心配を
かけてしまったり、自分勝手に突走って
しまう事もいっぱいありました…
 みんなで傷ついて、沢山話し合いしたり
はげまし合ったりしたから、みんなの事。
仲間の大切さを知れた1年だったかな?
 2013年も幸せでありますように
   よいお年を~♪     すず香

 2012年12月31日中元すず香学院日誌:http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11438001459.html

 2012年を振り返る中元すず香の学院日誌です。
 「みんなで傷ついて、沢山話し合いしたり」そんな日々を送っていた。
 中元すず香の2012年は生徒会長として奮闘する日々でした。今回はそのあたりを時系列からは少し外れて見ていきます。

 

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2012年4月に撮影された1枚。このときはまだ生徒会長ではなくいちメンバーだった

 

 「Pop'n アイドル」から始まった
私達の夏
 毎週さまざまなイベントに
参加させていただき、沢山の事を学び
みなさんにも会え… 毎回会うたびに、
メンバーの心がだんだんまとまっていくのを
感じ、12人で 全員で また一回り
成長できた夏でした
 2012年9月8日中元すず香学院日誌
 http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11348773701.html

 今年の夏、大変な事も沢山あったけど…
みなさんのおかげで私達は一つになれました
 2012年9月10日さくら学院学院日誌中元すず香部分
 http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11351023439.html

 2012年9月の学院日誌です。
「メンバーの心がだんだんまとまって」「一つになれました」などの言葉が目をひきます。裏を返せばそれまでは「メンバーの心はまとまっていなかった」「一つではなかった」ことが感じられます。
 とくに9月10日の日誌は、ららぽーと豊洲でのイベントの後にメンバー全員で寄せ書きをした日誌であり、他のメンバーが「楽しかった」などとテンション高く記しているなか、最後の中元すず香のコメントは「今年の夏、大変な事も沢山あったけど…」で始まり、上から順番に読んでいくとそのテンションの違いに戸惑いを覚えます。

f:id:pierofw:20161101062240j:plainhttp://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11351023439.html


 中元すず香中学3年生の夏はなんとか乗り越えたと言えるようなたいへんなものだったようです。この夏、なにがあったんでしょう。

 

 まず、2012年5月6日に生徒会長に選ばれて以降、中元すず香はどのような気持ちで生徒会長に挑んでいたのでしょうか。

彩未ちゃんがつくってきた道をそのまま辿らなきゃいけないというか、勝手に思っててずっと。彩未ちゃんになんなきゃいけないみたいな。ずっとそう思ってました。それで一生懸命でした最初は。
 2013年3月20日南波一海のアイドル三十六房特別編~中元すず香インタビューより

 これまでさくら学院に生徒会長は武藤彩未しかおらず、武藤彩未以外の生徒会長を誰も知らないわけです。その武藤がやってきたようにやろうと思うのは当然でしょう。でも当然中元すず香は武藤彩未とは異なる個性であり、武藤のように仕切ろうとしても難しかったでしょう。中元すず香は苦悩したと思います。
 そして、これまでさくら学院には武藤の他にリーダーシップを発揮できる三吉彩花とよきお姉さん役として下級生に寄り添える松井愛莉という3人がいて鉄壁とも言える体制でメンバーたちをけん引してきました。その3人の役割を中元すず香は1人でこなそうとしたでしょう。でもできるわけがない。だからメンバーたちの相談事や心配事は3人のOGの元へ届くことになる。

卒業生の3人にも、今まであったことが伝わっていて、“すーが無理だったら私達が行こうか?”って言われていたんです。でも、“私がやります!”って、自分で頑張ってました
 2012年9月5日CDJournal~注目のアイドル・グループのリーダーに訊く“リーダー論”~http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/-/2000000662

 これは厳しい…
 下級生たちは悪気はなく3人に相談したり報告したりしていたのだろう。
 それがまわりまわって、先輩たちから「大丈夫?」と心配される。これほど新リーダーにとって辛いことはないかもしれない。
 「私がやります!」と独りで頑張らないといけない最上級生。
 ここが中元すず香の最大の試練だったかもしれない。

 

 それにしても「今まであったこと」とはどんなことだろうか。

 一つ思い浮かぶのは生徒会長選出を賭けた中元すず香vs中2生たちのバトル(詳しくは960 肩書きのない1人ぼっちの最上級生 参照)。転入生たちを萎縮させてしまうほどのピリピリムードが1か月も続く状況の傷跡は簡単に癒えるものではなかっただろう。

 そしてもう一つ。この年の転入生3人(野津、大賀、杉本)はなかなかさくら学院に馴染めなかったようだ。

菊地 その年の転入生は、3人(大賀咲希・杉本愛莉鈴(と野津友那乃) )で一緒にいるっていう印象があるんです。
 写真集「さくら学院 菊地最愛 水野由結 田口華 野津友那乃 2015年3月 卒業」より

水野 それまで、3人と他のメンバーっていう感じで壁があった
 写真集「さくら学院 菊地最愛 水野由結 田口華 野津友那乃 2015年3月 卒業」より

田口華 その代の転入生、まあいまは大丈夫だけど、入ってきたときにさ、あんまり練習してこなくてらうちゃんが超いかってた
森ハヤシ 確かに聞きましたよ。この代のメンバーはふてぶてしいというか。だっていっぱい振付をやんなきゃいけないのに全然練習してきてないという噂は聞きましたよ
 LoGIRL第1回放送より

 転入生3人は馴染めないだけでなく、他のメンバーからふてぶてしいというイメージまで持たれてしまったようだ。3人にしてみれば転入当時のピリピリムードに萎縮していたというもっともな言い訳があるのだが。
 中元すず香も卒業式の答辞であえて触れていることからも相当大きな問題となっていたことがわかる。

 2012年度スタート当時、転入生のみんながなかなか馴染んでくれずいつまでたってもみんなの中に入ってきてくれないことに苛立ちを覚えたことがあります。
 でも、思い起こせば、自分が広島からさくら学院に通っていた頃、すでにチームとして出来上がっていた輪の中に入っていくには、勇気がいること、どうしてちゃんとわかってあげられなかったんだろうと悔やんだ日もあります。
 2013年年3月31日中元すず香答辞より

 このような状況を中元すず香はどのように突破していったのだろうか。
 このあたり、若干14歳が成し遂げたことはリーダーのあるべき姿として非常に勉強になります。

 

 中元すず香は先ず自分自身を分析することから始めます。

それまで、1人で自由にやってきたタイプだったんですよ。
 写真集「さくら学院中元すず香2013年3月 卒業」より

 普段、まず3人姉妹の一番下で生まれたところから始まって、ずっとちっちゃい頃からお姉ちゃんの友達とかと付き合ってたんですよ。まあ同級生もいたけど。あんま年下の子と一緒に動いたりすることってあんまりなくて。で、さくら学院は年下もいたけど、正直けっこう上の3人と一緒にいることが多くて。
 2013年3月20日南波一海のアイドル三十六房特別編~中元すず香インタビューより

 

 自分は案外みんなのことを知らないんじゃないかと自己分析した中元すず香は「みんなを知ることからまず始めよう」とする。

 最初はすごく大変でした。“よく考えると、みんなのことを知らなかったな……”と思ったし。(中略)だから、みんなを知ることからまず始めようと思って、個人面談とかしました。
 写真集「さくら学院中元すず香2013年3月 卒業」より

 転入式のときに会長ってなってから正直みんなのことを全然知らないなってなって個人面談を始めたんですよ。
 みんながいまどういうことに対して悩んでいるのかとか、誰と仲がいいとか、そういことも含めて。
 あとちょっと苦手意識もっているのかなって思ったりとかしたら、実際に聞いてみて、ほんとにそうだったら、その意識持っている子とその子をすぅが普通にしゃべってる中であえてくっつけてみたりとか、共通ワードをあえて見つけてみたりとかして。
 そういうことをしてけっこうコミュニケーションをとれるようにしようって思ってて。(中略)
 みんなに意見を聞くようになりました。「このイベントどういう風にしたい?」とか「いまどう思ってる?」とか、なんかそういうことで今年はほんと話し合いとかする機会が増えました。
 2013年3月20日南波一海のアイドル三十六房特別編~中元すず香インタビューより

 リーダーというのはこんな苦労をするもんなんですね……

 

 個人面談するだけに止まらず、人間関係の円滑化にも気を遣う中元すず香がついに転入生3人の壁を打ち破る。

水野 それまで、3人と他のメンバーっていう感じで壁があったんですけど、その壁を壊してくれたのがすぅちゃんでした。すぅちゃんは生徒会長に選ばれてから、いろんな子の話を積極的に聞くようになって
 由結に対しても、「今悩んでることある?」って言ってくれて、その悩み事を話したりしたんですけど。そういう風にすぅちゃんがちゃんと周りを把握して、自分から見えてないものを探しに行ってくれたから、夏、TIFの頃くらいから12人でひとつになってきて、2012年度のさくら学院が完成したなって思います。
 写真集「さくら学院 菊地最愛 水野由結 田口華 野津友那乃 2015年3月 卒業」より

 小学6年~中学2年の年頃の女の子たち、大小はあってもみんな悩み事を抱えている。悩み事を聞いてくれるというのは絶大な効果をもたらし、中元すず香の求心力はどんどん高まっていったでしょう。
 それにしても水野由結ちゃんの「自分から見えてないものを探しに行ってくれた」って言い方すごいなあ。好きだなあ。

 

 こうして中元すず香は少しずつリーダーとしての自信を深めていった。

 最初は、彩未ちゃんに、今度はすーなんだから、すーがまとめていけって言われていて、プレッシャーもありました。でも、正式にリーダーに決まって、“じゃあ、すーさんが決めて”って言われて、いろいろ決めていって。そのうちに、“彩未ちゃんみたいにならなくていいんだ、すーのやり方でいいんだ!”と思えたんです。
 2012年9月5日CDJournal~注目のアイドル・グループのリーダーに訊く“リーダー論”~http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/-/2000000662

 

 このようにして、これまで「1人で自由にやってきたタイプ」の中元すず香は自らを変え、人間関係に気遣いのできるリーダーの資質を見せていった。
 しかし、真のリーダーとなるためにはもう一つ突破しなければならない壁があった。

野津 すぅさんって、ずっと優しいだけだと思ってた
 写真集「さくら学院 菊地最愛 水野由結 田口華 野津友那乃 2015年3月 卒業」より

中元 (前生徒会長の)彩未ちゃんて、ピリッとさせる空気を作るのが上手だったんです。ちゃんとしてないのは許せないタイプだったから、彩未ちゃんがピリッとすると、みんな、気が引き締まる。
 でも、すぅはそれがないし、みんなもすぅは怒らないと思っているから、何か緊張感が足りないというか。
 夏バテで疲れていたからかもしれないんですけど「練習しよう」って言っても、「面倒くさい」って言われた。でも、そこで注意ができなくて。“どうしよう……”って思ってたんだけど、実行に移せなくて。
 写真集「さくら学院中元すず香2013年3月 卒業」より

 そう。中元すず香はとにかく「優しい」ので怒ったりすることなどないし周りに威圧感や緊張感を与えるタイプではない。
 だから「「練習しよう」って言っても、「面倒くさい」って言われたり」
 いやいや、これはさすがにあり得ないでしょう!
 さすが芸能人になろうという女の子たち。気の強さは半端ないんでしょうなあ。
 怒ることはもちろん注意することもできないすぅちゃん。

 

 しかしステージに対する熱い思いがついに中元すず香を成長させる。

 ほんとに人に注意したりすることもなくて、今まで「こうしようね」とか「こうしたほうがいいんじゃない?」とか、それぐらいだったんですよ。でも、それだけじゃダメなのかなって思って。(中略)
 TIFのへんって、ずっと毎週イベントとかもやってたし、部活をTIFで披露しないといけないとかテニス部も初披露だったりとかして。あとシャッフルユニットといって他のアイドルさんと色々やらしてもらったりとかして。みんな頭がほんとパンパンだったんですよ。だけど転入生の子にも新しいの教えなきゃいけないみたいな感じに色々なっていて。
 だからみんな何からやればいいかわからないし、みんなが別の方向に心が向いてた時期だったんです、たぶん一番。(中略)
 2、3日前に「あとちょっとだよ?大丈夫?」みたいな感じになって、話し合いみたいなのを一回しろってなって。(中略)
 リハのときもちょっとダラ~っというかそういう気持ちがあったから「みんなこのままでいいの?このままほんとにお客さんの前に立っていいの?」っていう話しをして「ほんとにやる気ないんならやんなくていいよ」みたいな感じでビシって言ったのはそのときが初めてだったんですけど。(後略)
 2013年3月20日南波一海のアイドル三十六房特別編~中元すず香インタビューより

ーーー生徒会長になってから、ビシビシ言うようになった印象があるんですけど。
中元 TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL 2012)あたりからですね。前々日に恒例の(笑)反省会があったんですよ。それまで各自が忙しくて、全員で合わせるのはこれが最後の日だったんですけど……
(中略)
 何か緊張感が足りないというか。
 夏バテで疲れていたからかもしれないんですけど「練習しよう」って言っても、「面倒くさい」って言われたり。(中略)
 それで先生に呼ばれて、「いま、さくら学院で何がしたいのか話し合え」って言われたんですよ。
 それで、すぅは「みんなのことを見ててもよくわかんない」って言ったんです。「ステージに立ちたいと思ってるんだったら、なんで真面目に練習しようとしないの?」って。「私たちのためにたくさんの人が動いてくれてるのに、自分たちがそういうことをやっちゃっていいの? やりたくないなら辞めれば?」って、初めてキツく言ったんです。
 写真集「さくら学院中元すず香2013年3月 卒業」より

 あのすぅちゃんがキレた!
 これはもう相当な衝撃だったらしく、このことについてはたくさんの後輩が語っています。

菊地 転入生が入ってきたときに、ダンスが全然揃わなくなったりしたときに(中略)すぅちゃんが「これはさすがにまずいよ」って怒ってきたんですよ。すぅちゃんに怒られたことが全然なかったんでほんとに新鮮でした。
 2013年2月28日「さくら学院 ニューシングル・リリース記念 放課後公開ニコニコ放送室」より

杉崎 TIFのとき、すごく振りが揃わなくて一回話し合えって先生にすごく怒られたんですよ。
 そのときすぅさんが「最近みんな意味わかんないよね」みたいなこと言い始めて。
 「え!?」と思って!「え!?いきなりすぅどうしたの?」とか思っちゃって。
 そしたらすぅが「今まですぅは会長としてみんなを引っ張ってきたつもりだったけど、こういう優しい言い方じゃなくて強い言い方じゃないとみんなが聞かないならそういう言い方しかしないよ」みたいなことを言い始めて。「なんだこいつイケメンだな」とか思って(笑)
 2013年2月28日「さくら学院 ニューシングル・リリース記念 放課後公開ニコニコ放送室」より

ーーー後輩時代のさくら学院での思い出や印象的な出来事を1人ずつ教えてください
野津 友那乃は、2012年度のTIFです。その時期、毎日レッスンだったから、下級生はみんな、体力的についていけなくて。やる気がないわけじゃないけど集中力がなくなってたんです。
 そしたらすぅさんが、友那乃が知る限り初めてキレて。すぅさんって、ずっと優しいだけだと思ってたから、すごくビックリして。でも、それでみんなのやる気が戻って、すごくまとまったんです。
 写真集「さくら学院 菊地最愛 水野由結 田口華 野津友那乃 2015年3月 卒業」より

 

 こうしてリーダーとして一皮むけた中元すず香はTIFを経てさくら学院を掌握していくことにようやく自信を深めることができた。

中元 特にTIF(TOKYO IDLE FESTIVAL)で変わってきたかな……。練習も、ぎりぎりまでバラバラだったんですけど、話し合いの中で、メンバーみんなが“もっと言ってくれていいよ。優しすぎるよ”って。メンバーに遠慮してたんですけど、それから素直にガンガン言えるようになりました。最近は、みんな、無言で通じ合ってる感じになって、すごいなって思います。何ヵ月か経っていろんな経験をして、ようやく形になってきたかなと思います
 2012年9月5日CDJournal~注目のアイドル・グループのリーダーに訊く“リーダー論”~http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/-/2000000662

 

 中元すず香は硬軟両路線でリーダー像を確立していったわけですが、特にメンバーの人間関係には心を砕いたようです。
 中元すず香は個人面談するだけでなく、プライベートの付き合いも深めていきます。この年、さくらメンバーの学院日誌は「すぅと2人でデートした」という報告に溢れています。何人かで遊びにいったという報告はこれまでもけっこうあるが、2人でとなるとまた特別なのでしょう。すぅちゃんと2人きりで遊んだことを中2のみんなは実に嬉しそうに日誌に記しています。

・らうちゃんがすぅと初デート報告
 http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11301727137.html

・まりなちゃんがすぅと夏のデート報告
 http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11352560821.html

・ひなたちゃんがすぅと映画デート報告
 http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11432074081.html

 中2のときもねねどんとデートしたことが報告されていましたが、そのときは仲が良い2人でって感じだったでしょう。
 しかしこのように全方位的に個別に遊んでいることからは単に仲良しだからというだけでないものを感じます。生徒会長としてみんなをもっとよく知りたい、みんなともっと近くなりたいという思いがあったのかもしれません。

 

 このようなリーダーがメンバーたちの確執を見逃すはずがない。

飯田 2人(堀内・佐藤)は良い方向に進んだよね。ここ(飯田・杉崎)は暗黒時代だったから(笑)。
杉崎 黒歴史(笑)もう、荒れまくりでした。
飯田 夏、TIF(2012)ぐらいからもう、下に下に……って。
ーーーそんな風に見えなかったけどなぁ。
佐藤 いや、もう、態度が。負のオーラが立ちこめて、1メートル以内に近づけない、みたいな(笑)
飯田 TIFのコラボユニットに出たいというのがあったんです。でも、2人(飯田・杉崎)は選ばれなくて。で、その前に「テニス部やるよ」っていう話があって。(中略)でも、入ってなくて。(中略)まり菜と寧々はテニス部に選ばれてたし。(中略)
 そこからはもう、どんどん黒いほうに。帰りの電車で、寧々とずっとブーブー言ってたもんね(笑)
ーーー寧々はテニス部に入ったじゃない。
杉崎 入ったんですけど、もっと光が欲しかった(笑)。どんなチャンスでも自分に欲しくて。そのくせ、何の努力もしないんですよ。そりゃあ、回ってくるわけないんです。“メモとかとって頑張ってるまり菜にチャンスを与えたい”と思うだろうし、日向だって気づいて進展した頃だったから。
 写真集「さくら学院 堀内まり菜飯田來麗杉崎寧々佐藤日向 2014年3月卒業」より 

 飯田來麗、堀内まり菜、杉崎寧々の3人は小学4年生の頃からミニパティとして共に同じ道を歩んできた。
 しかし中学2年生となった2012年には
 ・堀内が副生徒会長、飯田が副々生徒会長、杉崎は役なし
 ・堀内、杉崎はテニス部、飯田は選ばれず。
 ・堀内はさらに科学部にも選出
 確実に差がついていった状況だった。

杉崎 目立ちたがりで光が欲しかったから。でも何も回って来ないから、やる気が出なくて。それでレコーディングも上手くいかないし、先生に怒られるし、時間は押しちゃうし、迷惑ばっかりかけてて……黒歴史すぎて振り返りたくないです。
飯田 今思うと、たしかに練習はしてたかもしれないけど、まり菜ほど努力をしてないんです。なのに、なんで!?って怒っていた。あの頃の自分をボコボコにしたいです(笑)。
(中略)
堀内 私、2人のことを心配すぎて、“仲良くなれないんだったら、さくら学院やめようかな”って思ったぐらい……。
 写真集「さくら学院 堀内まり菜飯田來麗杉崎寧々佐藤日向 2014年3月卒業」より

 杉崎、飯田の「なんで私達は選ばれないのか」という怨嗟の声は堀内を悩ませることになり、堀内はさくら学院をやめようかというところまで思い詰める。

 それを中元すず香は見抜き、適切に処置することになる。

飯田 すぅに言われたんです。「まり菜が落ち込んでるんだけど、それね、たぶん、らうとねねどんのせいなんだ」って。
 らう、そんなつもりはなく、自分の中だけのことだと思ってたけど、それが伝わってたんだなぁと思って。
 それですぅにめっちゃ叱られて……(まり菜に)申し訳なかった。
 写真集「さくら学院 堀内まり菜飯田來麗杉崎寧々佐藤日向 2014年3月卒業」より

 らうらちゃんは自分の問題だと思っており、自分の言動が他のメンバーにどういう影響を及ぼしていたかは気づいてなかったことがわかる。そこを中元すず香は諭したわけで。ライバルに差をつけられていっているらうらちゃんに同情し「頑張ろう」と励ますことは簡単なことだが、中元すず香は叱ったという。普段から密接な人間関係を築いているからこそメンバー間の微妙な機微を察知することができ、信頼関係があるからこそ堂々と非を諭すことができる。こんな素晴らしいリーダーはあまりいないんじゃないでしょうか。
 

 こうして硬軟使い分け、真のリーダーへと成長した中元すず香。
 それは中元すず香が自分を見つめ直し、リーダーとはどうあるべきかと模索し日々努力し、自分を変えていったからこそ。
 いかにすぅちゃんが変わっていったか。杉崎ねねどんのこの日誌が秀逸です。

ー1年前 すーねねがまだ子供のトき。
「あのね、この間地元で食べたパスタがおいしくてね!! …エンドレス」
ー今年 すーが先にお姉ちゃんになった。
「レッスン中〇〇が元気なさそうだったの。ねねどん何か知ってる?
 今回のライブここをこうすればもっとよくなると思うけど…どう? …エンドレス」
 2012年11月6日杉崎寧々学院日誌より:http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11397844568.html


 中元すず香が真のリーダーへと変貌していったその過程を読み解くと、若干14歳にしてこのような経験をした人間が、周りに気遣いができる上に、どこにでていっても人に感銘を与えることのできるスーパーレディとなるのは自明のことなんでしょう。

 

 中元すず香の2012年は毎日がリーダーとして心を砕いた日々だった。
 そんなことを感じながら冒頭に記した日誌を読むとまた別の感慨を抱きます。

   2012年
今年も1年ありがとうございました
 みなさんにとって、2012年は
どんな年でしたか
 私は、引越しをして新しい環境の中で
新らたな出会いを経験しました
また、さくら学院の生徒会長として
人の上に立つ事によって、責任感やまわりの事
をしっかり見れるようになった事も
一つの成長です
ただ、沢山の人に迷惑や心配を
かけてしまったり、自分勝手に突走って
しまう事もいっぱいありました…
 みんなで傷ついて、沢山話し合いしたり
はげまし合ったりしたから、みんなの事。
仲間の大切さを知れた1年だったかな?
 2013年も幸せでありますように
   よいお年を~♪     すず香
 2012年12月31日中元すず香学院日誌:http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11438001459.html

 

 誰もが認める真のリーダーとなった中元すず香

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