2011年7月23,24日の転入式で初披露された「イジメダメ絶対」「イジメ・ダメッ・ゼッタイ」等と記された曲について掘り下げます。
緊張のリハーサル
いったいどんな曲だったのでしょう。
イントロでのすぅのシャウトと共に、ゆいもあが
上手と下手を全力疾走で行き来しはじめたのにはビックリ!しましたw大サビでの二人で戦うシーンとか。可憐Girlsを彷彿とさせる掛け声とか。
すぅのハイキックも見られたり。歌詞の内容の重さ、アレンジの重厚さ、表情、視線の鋭さをキャワな振付や掛け声で緩和したんだなぁ。。という印象を持ちました。
完全にゆいもあ二人を前面に押し出したつくりで、バックダンサーじゃなく、フロントダンサーって感じ
http://d.hatena.ne.jp/crossroad_2010/20110727/1311777786
BABYMETALの新曲が発表されました。「イジメダメ絶対」というのです。ヘビメタとアイドルの融合にメッセージを込めてきました。
http://littlewing2007.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/20117232011newd.html
中元すず香ちゃん、神がかってた、表情の1つ1つが可愛すぎ、
その重音部のステージが一番印象に残った、カッコ良過ぎて鳥肌涙物だった。
最年少のもあちゃんと、ゆいちゃんが凄い、特にもあちゃん、ちっちゃいのに、可愛すぎてヤバイです
http://meijin.blog.so-net.ne.jp/2011-07-24-02
重音部も面白い。X並みのツーバスのヘビメタル調。
Xっぽいポーズをしながらキメたりジャンプしたりと仕掛け沢山。
「イジメ~」ではJSメン2人がステージを駆け抜けてた笑
http://ameblo.jp/inomar/entry-10965383295.html
キーワードは「重厚」「ヘビメタ」「X」
たった1度聴いただけでこのように連想するかたが多いのが印象的。
BABYMETALのファンについて、ドルヲタ、メタラーと分けて語りがちですが、どちらも好きな人がBABYMETALにハマるんだろうなあと思ってます。
それにしても「上手と下手を全力疾走」「大サビでの二人で戦う」とは?
ーーーで、次に会場をどよめかせたのが、11年7月23日、24日のDUOで初披露した…
SU 走るやつですね(笑)。
MOA 私は、ダンスの中に走る振りと戦う振りがあることにビックリしました。初めて披露した時は、やっぱりお客さんがざわついて(笑)。でもそれがまたうれしかったし、新しい経験ができたなって思います。
2014年3月3日発売BIG ONE GIRLS NO.21より
この曲はその後1年以上に渡り、秘匿され続けます。
ライブで披露する以外はほとんど情報がでてこない。
ファンの間では、さくら学院の重音部がすごいという口コミとともに、「走るやつ」「戦うやつ」なんてフレーズも一緒に流布されたことでしょう。
謎が謎を呼ぶ新曲イジメ、ダメ、ゼッタイについて中元すず香はどのように感じていたのでしょうか。
SU 私が“メタル”という感じで初めて聴いた曲ですね。『ド・キ・ド・キ~』は自分たちにも親しみやすい感じだったし、“メタル”と言われてもよくわからなかったんですけど、『イジメ~』を初めて聴いた時は、「これがメタルなのかな…」と思って。『ド・キ・ド・キ~』もインパクトがあったんですけど、この曲は、真剣に歌っているはずなのに、どこかおもしろいところがあって。2人の合いの手(スクリーム)がついふざけていたり、よくわからないものが組み合わさっている感じに、最初はすごく動揺しました。あと、私が一番とまどったのは、歌うだけだったこと。それまで、ダンスをしながら歌うのが当たり前のことだったので、どうやって歌っていけばいいのかわからなくて、最初は苦労しました。
2014年3月3日発売BIG ONE GIRLS NO.21より
ーーーそれでも、あれだけ熱唱しながら激しく踊るのは相当大変だと思う。
SU-METAL むしろ、楽しいんDEATH!「Catch me if you can」とかは遊んでる感じだし。逆にダンスが無いと重い感じになってる気がする。
ーーー重い感じ?
SU-METAL う~ん… 重い感じっていうか…難しいな…でも、イメージとしてなんで…たぶん、凄く伝わりづらいと思うんですけど…「イジメ」とか「ヘドバン」とか凄く下のイメージがあるんDEATH。腰とかも下ってイメージを持ってて。
ーーー重心が下ってことかな?
SU-METAL 重心とかもだし、全体的に凄く下な感じがして。他の曲は自由に動き回ったりとか遊んだりとかだから。
ヘドバンvol3より
中元すず香にとって、初めての踊りがない曲。
プロとして初めて自らの歌唱力が直球で試される曲。
自分には歌しかなく、歌で生きていくのだろうと漠然とながらも感じていたであろう13歳に与えられたのは、
「重い」「下な感じ」のメタル曲だった。
シンガー中元すず香がプロとして初めて歌い上げたのが「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
―海外のライブで一番盛り上がる曲は何ですか?
MOA「 国によって一番盛り上がる曲は違うんですけれど、 『イジメ、ダメ、ゼッタイ』は外せない感じがしますね。サビのところで、キツネサインをして”ダメジャンプ“をするんですけど、お客さんも一緒にやってくださって、会場全体が一体化する感じがします。この曲が始まると、自分の中でも気持ちが高まります」
bitsLOUNGE(No.1 Web Magazine for Japanese Community in Canada)より http://www.bitslounge.com/interview/babymetal
YUIMETAL 「イジメ~」はフェスとかでも毎回歌ってる曲で。アウェーのなかでもこの曲を歌うとBABYMETALを知らないお客さんもダメジャンプをやってくれたりしてくれて、BABYMETALにとっては凄く大切な曲
ヘドバンvol.3 より
(以下、主観オンリーで暴走しますのでご注意ください)
初見の客を有無を言わせずねじ伏せてしまう「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
この曲を聴いた人は感じる。
これはメタルだわ。
ボーカルの歌唱力ハンパないわ と。
所詮は女の子と侮っていた客を黙らせ
「俺、見つけてしまったわ」と錯覚させる曲。
それは、この曲が本格派メタル曲だから
この曲が中元すず香の歌唱力を余すことなく発揮させるから
そこにゆいもあの「ふざけ」た合いの手と渾身の走りや戦いが加わるから
だけではない。
それは、この曲が、中元すず香が、初めて自分のボーカルのみが試される曲として、試行錯誤を重ねながら、これがBABYMETALなんですと、高らかに宣言するためにつくりあげてきた曲だからでもある。
中元すず香は中学1~2年時、ずっと考えていただろう
重音ってなんだろう。メタルってなんだろう、と。
私は歌手として生きていきたい。
そんな私に与えられたのは、ドキモとイジメの2曲。
ドキモは「自分たちにも親しみやすい感じ」だったけど、イジメは・・・
この子とどうやって向き合っていったらいいのかな。
どんな風に歌っていったらいいんだろう。
考えに考え抜いたことでしょう。
そうやってできあがっていった曲が持つ力。
中元すず香が「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を歌うとき、人々が「なんかわかんないけどすごかった」といった「謎の感動」を抱いてしまうのは、中元すず香という少女に秘められた力がこの曲に宿っているからなんだろう。
──そのかわいらしい「ド・キ・ド・キ☆モーニング」や、自己紹介ソング的な「ヘドバンギャー!!」のような楽曲と、メッセージ性の強い「イジメ、ダメ、ゼッタイ」では歌への取り組み方って違います?
SU-METAL 最初はどう歌っていいのかよくわからなかったですね。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」をいただくまでってアイドル系の曲やバラードをよく歌っていたので、こういう強い曲に感情を込めるのが難しかったんですよ(笑)。なんか合唱団みたいにまっすぐな歌い方になっちゃって。でもライブをやるうちに「こう歌いたい」「この言葉を強調したい」っていう気持ちが生まれてきて、だんだんクセというか、私なりの歌い方みたいなものを出せるようになりました。
Webナタリー2013年1月公開記事より:http://natalie.mu/music/pp/babymetal04/page/2
中学2年生という多感な時期にこんな曲を与えられてしまった中元すず香。
ほんとは、バラード曲を歌うような歌手や、歌のお姉さんなんかになっていたかもしれない。あるいはミュージカル女優になっていたかもしれない。
しかしこの曲を手にし、彼女は「中元さんちのすぅちゃん」や「さくら学院の中元すず香ちゃん」や「アイドルの中元すず香」という存在だけではなくなってしまう。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を与えられ、中元すず香の方向性は定まった。
---まず、一人ずつアルバム(BABYMETAL)の推し曲を教えてください。
SU-METAL 私は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」ですね。BABYMETALを始めたときに最初に聴いたのが「ド・キ・ド・キ☆モーニング」だったんですけど…どちらかっていうと、アイドルの曲に近かったじゃないですか。だけど「イジメ~」を聴いたときの衝撃が未だに残っていて。(中略)あと、ライヴで最後の方に持ってくる曲なので、「イジメ~」を歌う度にお客さんとの団結力や、私たち自身も団結力が固まるというか…BABYMETALっていったら「イジメ~」になるんじゃいなかなって思います。
ヘドバンvol.3 より
さて、歌について語るからにはやはり音源を聴きたくなります。
当時の音に一番近いと思われるのがこちら
トイズファクトリー公式に、転入式から約半年後の2012年2月1日にあげられた動画です。映像は、2012/1/9 WOMEN'S POWER 20th Anniversary@Shibuya O-EAST のものと思われます。
45秒までイジメ、ダメ、ゼッタイの導入部分が聴けますが、カウベルをカンッと鳴らしたような甲高い音もあり、現在音源化されているものとは随分違うことがわかります。これが転入式で披露された音に最も近いものではないかと想像しています。
初披露されたイジメ、ダメ、ゼッタイがいかに衝撃的だったかをこのかたが語っています。ファンの印象とそれを受けた中元すず香のコメントを最後にどうぞ。
---これまで嶺脇社長がBABYMETALを観てきたなかで、エポックメイキング的な瞬間ってありました?
嶺脇 何回かあるんですけど・・・1回は2011年7月にさくら学院の転入式っていうのがあったんですよ。そのときにBABYMETALが初めて「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を演ったんですよね。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」って、曲中で走るじゃないですか。さくら学院はみんなお客さんが座って観るので、そのときは“なんじゃこりゃ!”って思いましたね。曲も長いし。僕はメタル詳しくないんですけど、XJAPANみたいなメロスピ系の曲を取り入れて、小さい2人も使ってユーモアのセンスも加えながら本格的にやろうとしてるんだな、って思って。
ヘドバン PRESENTS 史上最高の英国メタル・フェス より
ーーー最初に、お客さんとの一体感を感じたライブは?その手応えは?
SU-METAL 初めて「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を披露した時、すぐにお客さんが反応してくれて、みんなでダメジャンプしたことですね。
ぴあ MUSIC COMPLEX Vol.4 2016年5月10日発行 より
広島のすぅちゃんがメタルへの道を走り始めました。