年は明けて2011年1月、
12月のインストアイベントの際に制作中とアナウンスされていたさくら学院のアルバム(http://d.hatena.ne.jp/crossroad_2010/20101214/1292252918)が、いよいよ2011年3月23日に発売されることが発表されました。
2011.01.14
さくら学院 3月23日 Album リリース決定!!
【タイトル】「さくら学院 2010年度 ~message~」
【発売日】2011年3月23日【通常盤 CD】 品番:TFCC-TFCC-86352 価格:¥2,800(税込)
■CD収録内容
「夢に向かって」「Hello ! IVY」「message」他2曲 / さくら学院、「Dear Mr.Socrates」 / バトン部 Twinklestars、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」/ 重音部、「ハッピーバースデー」/ クッキング部 ミニパティ、「めだかの兄妹」/ 帰宅部、新聞部+クッキング部新曲1曲含め全11曲を収録。
※初回生産分のみ新聞部監修『さくら学院新聞』封入。
また、あわせて2月にライブイベントを行うことが告知されました
『Happy Valentine♪ ?放課後さくらの下に集合!!?』
【日程】2011年2月12日(土)
【時間】《1》15:00開場/15:30開演 《2》17:30開場/18:00開演
【会場】原宿アストロホール (東京都渋谷区神宮前 4-32-12 ニューウェイブ原宿B1)
当該告知は「さくら便り」(さくら学院メルマガ)でのみ告知された
そして1月18日には絶妙のタイミングで中元すず香の日誌が更新されます。
題名:12月に録った「M5」へ込めた想い
http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-10772595708.html
M5とはどの曲なんでしょうか?
「メッセージ」が強調されているので、「message」かと一瞬思います。
しかしmessageはすでに11月の学院祭で披露済み。
学院祭のあとに思いを書いたとあるので、別の曲とわかります。
結論から言うと、M5は「FLY AWAY 」(参照:http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-10800829733.html)
題名に「12月に録った」とあるようにかなり早い段階でアルバムの制作が進んでいたことがわかります。
「夢に向かって」とともに、みんなの思いを受けて作詞された「FLY AWAY」。
さくら学院の楽曲は強いメッセージ性のある曲となっています。
フライングとなりますが、ここでさくら学院の楽曲について考察してみたいと思います。
アルバム収録曲
1.FLY AWAY さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:Ryo
2.Hello ! IVY さくら学院
作詞:としおちゃん、作曲・編曲:坂部剛
3.チャイム さくら学院
作詞:紫緒、作曲・編曲:岡ナオキ
4.ハッピーバースデー クッキング部 ミニパティ
作詞:ジェノワーズ、作曲・編曲:のりぞー
5.プリンセス☆アラモード クッキング部 ミニパティ
作詞:ジェノワーズ、作曲:のりぞー、編曲:MATSUMOTO TAKAHIRO
6.Brand New Day 新聞部 SCOOPERS
作詞:むかご、作曲:のりぞー、編曲:MATSUMOTO TAKAHIRO
7.Dear Mr.Socrates バトン部 Twinklestars
作詞・作曲・編曲:沖井礼二
8.めだかの兄妹 帰宅部 sleepiece
作詞:荒木とよひさ、作曲:三木たかし、編曲:LIT-HUM
9.ド・キ・ド・キ☆モーニング 重音部 BABYMETAL
作詞:NAKAMETAL、作曲:のりぞー・村カワ基成、編曲:SOH・村カワ基成
10.夢に向かって さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:Ryo
11.message さくら学院
作詞:としおちゃん、作曲・編曲:坂部剛
加えて、デビューシングルに収録されていたが、なぜかアルバムからは漏れた「School days」
12.School days さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:坂部剛
これら12曲を楽曲提供者たちの類型でわけるとこんな感じになります
第1群A類
10.夢に向かって さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:Ryo1.FLY AWAY さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:Ryo
第1群B類
12.School days さくら学院
作詞:森由里子、作曲・編曲:坂部剛
第2群
4.ハッピーバースデー クッキング部 ミニパティ
作詞:ジェノワーズ、作曲・編曲:のりぞー5.プリンセス☆アラモード クッキング部 ミニパティ
作詞:ジェノワーズ、作曲:のりぞー、編曲:MATSUMOTO TAKAHIRO6.Brand New Day 新聞部 SCOOPERS
作詞:むかご、作曲:のりぞー、編曲:MATSUMOTO TAKAHIRO9.ド・キ・ド・キ☆モーニング 重音部 BABYMETAL
作詞:NAKAMETAL、作曲:のりぞー・村カワ基成、編曲:SOH・村カワ基成
第3群
7.Dear Mr.Socrates バトン部 Twinklestars
作詞・作曲・編曲:沖井礼二
※「8.めだかの兄弟」はカバー曲なので除外
第1群を見ていきますと、
「夢に向かって」「FLY AWAY」ともに、中元すず香の日誌にあるとおり、さくら学院の生徒たちが込めた思いを詞にしてもらったもの、その作詞家の先生は森由里子さん。
作詞家。1988年の中森明菜「TATOO」他、多数のアーティストに1100曲以上の楽曲を提供。
このかたが一番経歴が長いといいますか、職業作詞家としてもっとも名をなしているかたかなと思います。
さくら学院生たちの思いをくみ取り、キラキラした歌をつくりあげてくれているプロ作詞家。
この森由里子さんと組んでキラキラの2曲を作曲・編曲しているがRyoさん
Ryo
ロックバンド「defspiral」のベーシスト。作曲家・編曲家としてもGackt等のアーティストに楽曲を提供。
森由里子・Ryoの黄金コンビは2011年度卒業テーマソング「See you…」も制作することとなります。
次に、「School days」
作曲家。作曲家事務所アッシュバニー所属。舞台・ミュージカルの音楽を制作する他、アニソン等を多く手掛ける。
「School days」がリリースされた2010年当時坂部さんはまだ20代で新進気鋭の作曲家といった感じ。
坂部さんは作曲家事務所アッシュバニーに所属していますが、同事務所に同じく所属している紫緒(渡部紫緒)さんが作詞を手掛けたのが「チャイム」
紫緒(渡部紫緒)
作詞家。作曲家事務所アッシュバニー所属。言葉選びのセンス、表現力の豊かさを仮歌を依頼する作曲家から高く評価されており、2010年秋、作曲家 坂部剛の勧めで初めて作詞コンペに参加する。
作詞家として駆け出しの頃にさくら学院に楽曲を提供したことがわかります。
なお、「チャイム」作曲・編曲の岡ナオキ氏については詳細不明でした。
次に、「Hello ! IVY」「message」は、ともに作詞:としおちゃん、作曲・編曲:坂部剛。
作曲・編曲の坂部剛さんはすでに見たとおりですが、作詞のとしおちゃんは、なんとコムサデモード、モノコムサ等を展開するファイブフォックス社の社長上田稔夫氏のことです。(参照:https://www.wwdjapan.com/life/2015/05/29/00016665.html)
さくら学院とモノコムサとのコラボにはこんな裏があったんですね。
さて、第1群は、結論から言うとさくら学院の運営母体であるアミューズ・キッズ事業室サイドが主導した楽曲と考えています。
といっても、キッズ事業室は楽曲制作についてはあまり経験がなかったでしょうから、アミューズ内の音楽畑の人が協力して楽曲をつくりあげていったのではないかと考えています。
一方、第2群の曲は「ハッピーバースデー」(クッキング部ミニパティ )、「プリンセス☆アラモード」(クッキング部ミニパティ)、「Brand New Day」(新聞部SCOOPERS)、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」(重音部BABYMETAL)。いずれも部活動の曲群ですが、こちらは結論から言うと、小林啓氏(のちのKOBAMETAL)主導の楽曲と考えています。
第2群の曲は作曲がすべてのりぞーさん。
のりぞー
ロックバンド「Dugout」のボーカル・ギターのりぞう。
参照:https://twitter.com/norizafu http://www.dugout593.com/profile.htm
のりぞーさんはBABYMETALがさくら学院から独立して以降は、NORiMETALと名義を替え、メギツネ、Road of Resistance、ヤバッ!、Amore-蒼星ー、シンコペーションの作曲を担当しています。
ミニパティがほぼほぼ小林啓プロデュースということはこれまで見てきたとおりですが、のりぞーさん作曲の「ハッピーバースデー」が初披露されたのが2009年7月20日(360 中元すず香広島に帰る。その頃、他のアミューズキッズたちは参照)。CD発売する予定もない楽曲提供でした。
のりぞーさんという同じ作曲者でつくられた「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が「実はさくら学院の活動がはじまる前からあった」というのもうなずけます。
そして、三吉彩花と松井愛莉のユニット新聞部SCOOPERSの「Brand New Day」も、ミニパティ「プリンセス☆アラモード」と作曲・編曲が同じ構成であることから小林啓氏が担当だったことが読み取れます。新聞部まで担当していたというのはちょっとした驚きでもあります。
さくら学院初期には、音楽畑の小林啓氏はバトン部Twinklestarsを除く部活動ユニットの楽曲制作でさくら学院の活動に関わっていたと推定してほぼ間違いないと思われます。
そして、第3群の「Dear Mr.Socrates」(バトン部Twinklestars) は、作詞・作曲・編曲すべて沖井礼二さん
沖井礼二
渋谷系ポップスバンドCymbals(シンバルズ)の元ギター・ベース。Cymbals解散後は、ソロ・ユニットFROG名義で活動するほか、フリーランスの作曲家としても多数のアーティストに楽曲を提供している。
沖井さんは、渋谷系では相当に名を馳せた音楽家であるらしく、渋谷系サウンドに造詣が深いかたは「Dear Mr.Socrates」を少し聴いただけで、「あ、沖井じゃないの?」とわかるそうです。
バトン部 Twinklestarsは沖井さん専属と言っていいような体制で、「Dear Mr.Socrates」に続くシングルCD「プリーズ!プリーズ!プリーズ!」並びにB面の「天使と悪魔」も全て沖井さんの作詞・作曲・編曲となっています。
また、TwinklestarsのレーベルであるLD&K Recordsは、Cymbalsが所属したレコード会社でもありました。
ということで、バトン部 Twinklestarsは、楽曲については、音楽プロデューサーをたてて完全に一任する体制(Perfume×中田ヤスタカ方式)であることがわかります。
以上をまとめると、さくら学院初期の楽曲作成体制は、
第1群 さくら学院本体 キッズ事業室主導で楽曲作成陣を組み合わせる
第2群 部活動ユニット 小林啓主導で楽曲作成陣を組み合わせる
第3群 Twinklestars 音楽プロデューサーをたて一任
という体制であったことが見えてきます。
以前、さくら学院の成り立ちについて部活動先行説などの諸説を紹介しながら考察しましたが、楽曲の観点からも初期のさくら学院は異なったベクトルの動きが収斂したかたちでファーストアルバムが出来上がったことが読み取れ、なかなかに面白いです。